Chip E. (シカゴ)


Chip E. (Irwin Larry Eberhart II) はシカゴのプロデューサー。
高校の時、父親に良く似た子供=Chip Off the Old Blockなので
Chipというあだ名がつき、名字のEとあわせてこの名前になりました。

クラブ"Warehouse"で衝撃を受けた彼はレコード屋Importsに
足繁く通い、在学中にそこで働きはじめます。


1.はじめてのハウス
Chip E.
「大学でマーケティング理論を学び、DJで何がウケるかを知り、
 レコード店では人々が何を買うかを注意深く見ていた。
 お客の多くは『FrankieがWarehouseでかけてたやつ』と買いに来る。
 だから"Warehouseでかかってる曲"とか、略して"houseで聴ける曲"と
 POPをつけたんだけど、そうしたら試聴もしないで買っていくんだ。




Chip E. - It's House (1985)

「BOSSのギター用サンプリングペダルは1.7秒のサンプリングができる。
 俺はそれをマイクにつなげて、サンプルを再生していたんだ。
 It's House, It's House, It's House。これが最初のハウスレコードさ。

 Jesse Saundersがハウスレコードの元祖だって言われてるけど、
 『On&On』はディスコのリメイクじゃないか。"It's House"は
 ミニマルでトライバル、ノリのいい四つ打ちでサンプリングもある。
 TR-808、のちに909になるハウスはこれが元祖だよ。

 だいたい、JesseやVinceはヨーロッパでハウスが流行りはじめても
 自分達のことをR&Bアーティストだって言ってたんだぜ。
 それなのに、いざ本格的にハウスが流行ったことを知ると
 『そうそう、俺達が元祖ハウスレコードを作りました』だってよ!」



2.Joe Smooth


Chip E. - Time To Jack (1985)
「Importsで働いていたとき、Joe Smoothは常連客だった。
 彼はEnsoniqのサンプラーMirageの試作機を持っていたんだ。
 それでスタジオに持ってきてもらい、EP作りを手伝ってもらった。
 "Time To Jack"ってサンプルは彼の声なんだ。」

jack.jpeg
よほどうれしかったのか、アーティスト名も
Mirage Featuring Chip E.になっています。

このEPはHotMix5やLarry Levanが頻繁にプレイし、
Glenn Undergroundが「ハウスとはこれの事だ!」と言う
伝説の名盤になりました。2007年にCD化再発されています。


3.Like This


Chip E. Inc. Featuring K. Joy - Like This (1985)
「君の曲はいいんだけど、歌がないとラジオでかけにくいよ」
学校の先輩にそういわれたChipは、知り合いのシンガーK-JOY、
シンセのひけるLidell Townsellと歌ものに取り組みます。
ESG - Moodyをもとにハウスバージョンに仕上げました。
MixにはSteve "Silk" Hurleyも参加。

「ある日、Frankie Knucklesをスタジオに招いた。
 "Like This"ってサンプルは彼の声なんだ。」


「『さーこのように、手を振り脚を振って踊りましょ』とかゆーハウス賛歌。
 だが大抵は、その一部分を『このよーに・このよーにー』」と
 意味不明に反復。バカみたゐだが絶賛!」
デジタルビスケットVol.24 わがままシカゴの暴虐美より)

このサンプルボイスはのちにいろいろな曲で使われました。
DJ Hell - Like ThatHouz' Monなど。


4.Frankie Knuckles

Frankie Knuckles ‎– You Can't Hide (1986)
「Like Thisから1年後、"If You Only Knew"のMixを頼もうと
 Frankieを再度スタジオに呼んだんだけど、彼はやり方を知らなかった。
 Jamie Principleはほぼ一人で曲を作っていて、一緒に
 曲作りをしていたわけではなかったんだ。


 俺はやり方を見せ、レコード作りを薦めた。ちょうどクラブの
 ラテンナイトに遊びに言ったらパーカッション隊がすごくてね、
 スタジオで実際に叩いてもらうことにしたんだ。」

こうしてFrankie Knucklesの初作品ができあがりました。
D.J.internationalからリリースなのはこんな裏話があったんですね。


5.Larry Heard

The It - Donnie (1986)
「Harry Dennisという男がしつこくレコードを出したいと迫ってきたんだ。
 ある日のクラブ明け、あまりにもしつこくて嫌気が指した俺は
 スタジオに呼んで作ってやることにした。キーボードとベースを少し弾いて、
 あとは明日やるからまた来てくれって追い返したんだ。

 翌日、奴はRobert OwensとLarry Heardを連れてスタジオに来た。
 Fingersのそれまでの曲はライブ録音で、シーケンサーを使うのは
 初めてだっていうから、俺はやり方を教えてやったんだ。」


シーケンサーを覚えたLarryは、Can You Feel ItStarsなどの
傑作ディープハウスを次々生み出します。出会ってよかった。


6.現在
若干21歳にして世界的に有名になった彼はその後
D.J.Internationalと揉め、音楽活動をほぼやめてしまいました。
現在はDVD制作会社で有名アーティストのPVなどを作っており、
その手腕は米Apple社の映像セミナーを担当するほどの実力。
2006年にはハウスのドキュメンタリー映画"The UnUsual Suspects"を発表。
翌年には日本公開のプロモーションで来日もしています。

「大阪と東京のクラブでプレイしたけど、音楽に対する計り知れない
 愛情を感じたね。音楽への情熱は僕を若者の頃のようにしてくれて、
 まるで80年代中盤にシカゴやロンドンで活動していた頃のような
 体験をしたよ。日本ではハウス・ミュージックはまだ生き続け、
 とても健全な音楽であることがわかったよ。」




Gridface - If You Only Knew (Chip E.)
HMVインタビュー - Chip E
Jonathan Fleming - What Kind of House Party Is This?
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MC Miker G (オランダ)


MC Miker G (Lucien Witteveen)はオランダのラッパー。
1986年、DJ Sven (Sven van Veen)と出会った彼は二人で
ポップなラップソングを作ります。プロデューサーは
80年代のオランダといえばこの人Ben Liebland。



MC Miker G & DJ Sven - Holiday Rap (1986)
Madonna - Holiday を下敷きに、1963年のヒット曲
Cliff Richard - Summer Holidayの替え歌フレーズも飛び出す楽しい曲。
オランダ、フランス、ドイツのチャートで1位を記録しました。

この映像はイギリスのTop Of The Popsですが、MCの人が
「Bon Jovi, Farley "Jackmaster" Funk, Frankie Goes To Hollywood
がライブしたこのスタジオ。次はこいつらだ!」と言っているので
この時期にFarleyがイギリスへ行ったのがわかりますね。   



MC Miker G & DJ Sven - Celebration Rap (1986)
Kool & The Gang - Celebrationのファンキーなノリに
Sister Sledge - We Are Familyのフレーズを入れてラップした曲。
今回紹介してる元ネタは全部いい曲なんでぜひ聴いてみてください。
カッコイイ+カッコイイ=超カッコイイになっててすごいです。



MC Miker G ‎– Don't Let The Music Stop (1987)
Chubb Rock, Special Ed, Real Roxanneの曲作りに
関わったHowie Teeプロデュースのエレクトロ。
チビッ子ボコーダーボイスがいいですね。


ネットで検索するとほぼここまでの情報しか出てこないのですが
当ブログで重要なヒップハウスはここから始まります。



M.C. Miker G ‎– Show 'M The Bass (1989)
The SOS Band - Take Your Timeネタヒップハウス。
日本のマハラジャでもヒットしていました。



M.C. Miker G ‎– Backseat Betty (1990)
ブレイクビーツから始まるスピード感あるヒップハウス。
ベースとリズムがもったりしていていい感じです。



R.T.Z. - Dance Your Ass Off (1991)
1991年、同じオランダのL.A.Style - James Brown Is Deadそっくりな曲。
iTunesプレビューによれば、L.A.Styleの曲作りに
同じプロデューサーFonny De Wulfが参加していたそうです。
この曲はプロトタイプなのかもしれませんね。

91年→92年はジュリアナがデステクノ化していった頃。
彼もまたヒップホップ→ヒップハウス→ユーロダンス
のユーロラッパー定番コースを歩み、92年以降
目立ったリリースはなくなってしまいました。


それから10年。



DJ Red 5 vs MC Miker G - Da Beat Goes (2003)
2000年代に入りトランスで復活。この曲はリミックスがヒットし
日本のレーベルからも発売されました。
ヒップハウスの世界へようこそ
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